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手話は手指の動きを中心にして、頭や上体の動きと顔の表情、視線、口型などによって表現し、視覚によって受容される言語です。cf. 盲ろう者の触手話

 手話は音声言語とは異なる独自の文法と語彙の体系をもつ言語です。音声言語に対応した手話単語を単に並べたものではありません。


 手話はジェスチャーやパントマイムとは根本的に異なります。


 指文字(文字を手指で表したもの)は手話の一部として使用されますが、それ自体は手話ではありません。


 手話は世界共通ではありません。国や地域によってそれぞれ手話は異なります。また、その分布は音声言語の分布とは異なっています(例:イギリスとアメリカの手話はまったく別系統の手話です)。


 複数の地域コミュニティにまたがって使用されている手話にはたいてい方言があります。また、手話にも世代差があるのがふつうです。


 手話を母語とするのは、ろう学校の児童集団に属していた人(=ろう者)や、ろう者である親のもとに生まれた子ども(デフファミリー出身のろう者や聴者(Coda))など、子ども時代に手話を話す環境にあった人です。cf. Coda


 手話を第二言語として学習した人々には、子ども時代を普通学校で過ごした聴覚障害者(難聴者・中途失聴者)、聴者の手話学習者や手話通訳者などがいます。


 手話の話者は、程度の差はありますが、たいていその地域の音声言語(あるいはその音声言語にもとづく書記言語)とのバイリンガル(ニ言語使用者)です。そのため手話には、その地域の音声言語の影響が少なからず見られます。また、第二言語学習者の勢力が大きいと、手話と音声言語(音声言語の文法にもとづいた手話表現)との間に混交(ピジン)や使い分け(コードスイッチング)など複雑な社会言語学的現象を生じます。


 母語としての手話には、音声言語にある言語としてのしくみがすべて備わっていると考えられています。


 手話にも『音韻』構造があると考えられています。多くの言語学者が、手話の音韻構造を明らかにすることは人間の言語の本質を明らかにする上できわめて重要であると考え、研究に取り組んでいます。


 手話の独自の文法としては、例えば、独自の語順、頭の動きによるイントネーション、一致動詞、視線による引用や態(ヴォイス)、独自に発達した助動詞、非手指による副詞、classifier(類別詞)の存在などが指摘されています。


 手話は多くの国で正当な社会的認知を得られていません。ろう者の教育においても、母語である手話が教育言語として公式に認められていない国が数多くあります。日本もそのひとつです。


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